CT値を利用して「臨床的骨質診断」を「Mischの分類」で行う。
古くからインプラント治療における骨質診断では、「LekholmとZarbの分類」が有名です(図1)。無歯顎前歯部のセファロ撮影であれば画像から骨質を判断できるかもしれません。しかし、通常はそんなことは行わず骨にドリルをした際に、術者の指に伝わる主観的な感覚からカルテに骨質状態を記載することが多いように思います。
図1 LekholmとZarbの骨質分類 | Lekholm先生 | Zarb先生 |
そこで、アメリカのCarl Misch先生は客観的な骨質診断として、CT値を利用した骨質分類を考えました(図2)。その模式図は頻度に応じた顎骨形状を表していますが、実際の臨床ではピクセル、ボクセルを示すCT値に色付けをすることで解りやすく判断できます。
図2 CT値によるMischの分類 | Misch先生 |
十河は赤から青の色分けを考え、最も硬い骨のD1を赤色、続く骨質D2を黄色、続くD3を黄緑色、D4を水色、そして骨ではないD5を青で示すと、左側上顎骨のカーブドMPRで示される白黒画像の臼歯部は(図3a)、その大部分が黄緑色で示される比較的すう粗な骨質D3で満たされていることが一目でわかります(図3b)。しかし、白黒のグレースケールをみても(図3a)そこまで骨質の情報を得ることはできません。
図3 左側上顎臼歯部のa: グレースケール。b:Mischの分類で骨質を色分けした同部位。Mischの分類で骨質を診ると、その大部分がD3で満たされていることが一目瞭然である。 |