続いて、コンピューターの中で「逆投影」を行って再構成する。
図1:元の被写体 | 図2:単純な逆投影では 周囲がボケた画像になる |
図3:FBP法で再構成 すると境界明瞭となる |
(再構成の画像は東芝メディカルシステムズ様のご厚意による)
前頁の「投影データ」を用いて、コンピューター内で「逆投影」をします。最初は、撮影された被写体(図4-g)を構成する3×3の画素(ピクセル)の全てがわかりません(図4-a)。そこに右側から同方向で得られた投影データを逆投影すると、上段は0、下段も0、そして中段の左端、中央、右端のいずれかが1000になるので仮にその部位に1000の値を置きます(図4-b)。続いて、斜め右下から同じように逆投影をすると、左斜め上、中央、右斜め下のいずれかが1000の値なので、先の値(図4-b)に加えてみると図4-cのようになります。さらに真下から(図4-d)、そして左斜め下から逆投影を行うと図4-eのような値となります。以上、4回の逆投影を行ったので4で割ると、真ん中が1000で周りが全て250の値となります(図4-f)。単純な逆投影を行うと画像は周囲に250という「ボケ」を生じることになります(図2)。
そこで、あらかじめボケることがわかっているのであれば、投影データを補正した後に逆投影を行うと画像は元データ(図1)に近い状態で再構成されます(図3,5)。この投影データを補正して逆投影する方法は、通常フィルタをかけるので「フィルタ補正逆投影法(FBP=filtered back projection)」と呼ばれています。
簡単にいうとこのようにして、CT画像が構築(再構成)されます。
図4:単純な逆投影の模式図
(図は信州大・小関道彦先生よりご教示いただいたものを改変)
図5:フィルタ補正逆投影法の模式図