医科用CTでは頭全体を含むように大きく撮影して、再構成範囲を16cmに絞る。
歯科用CTでは撮影目的とコスト(検出器が大きいと高額)を天秤にかけて、8cm、10cm、14~16cmで撮影する装置が存在する。
CT撮影後に「見る範囲」のこと、すなわち「有効視野」のことを「FOV(Field of view)」といいます。
■ 医科用CT:
医科用CT装置(全身用CT装置)は、歯科に特化した装置ではありません。そのため、医科用CT装置でインプラント治療を目的としたCT撮影を行う場合には、まず頭全体をCT撮影して(直径約25cm)、その後顎骨に絞り込んでFOVが直径約16cmとなるように「拡大再構成」を行います(詳しくは十河が起業した株式会社アイキャットの「CT撮影条件」をご参照ください)。
医科用CTでの撮影の範囲(約φ25cm) | 拡大再構成後の範囲(約φ16cm) |
■ 歯科用CT:
一方、歯科用CTは歯科に特化したCT装置です。そのため頭全体を撮影するのではなく、顎骨など最初から見たい範囲にFOVを絞って撮影します。歯列全体を診断したい場合には、前歯から左右の7番までを含むように最低でも直径8cmのFOVが必要となります。しかし、8cmのFOVでは下顎8番の水平埋伏歯が切れてしまうことが多いため、十河は「歯科における理想的なFOVは直径10cmだ。」と思っています。また、顎関節を含めた広い範囲を見たい場合には14cm~16cm。さらに、現在の矯正治療ではセファロ撮影が基本ですが、将来セファロの代わりに3次元で矯正診断をする時代になればもっと広いFOVが必要になってくることでしょう。
読影範囲 |
FOVの直径 |
---|---|
部分的に見る場合 | 4cm |
歯列全体(7番まで)を見る場合 | 8cm |
水平埋伏歯(8番まで)を見る場合 | 10cm |
顎関節まで見る場合 | 14~16cm |
矯正治療でセファロの代わりに3次元で見る場合(将来?) | それ以上 |
撮影視野(FOV)を示すイメージ図 |